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世界の有名企業が永久リモートワーク、コロナ禍で加速する新しい働き方

新たな変異型ウイルスが続々と誕生し、1年以上も世界に衝撃を与え続けているコロナウイルス。そんなコロナ禍で、国内外における多くの企業がリモートワークや在宅勤務を導入している。世界的にはどのようなリモートワーク体制が取られているのか。今後、日本でのリモートワーク普及はどのように変わっていくのか。コロナ禍で変わる新しい働き方とはどのようなものなのか。現状や課題、そして今後の展望をみていこう。

Twitterは永久的に在宅勤務可能に、GoogleやAmazonも長期的なリモートワークを導入

世界的に有名な企業は、現状どのようなリモートワーク体制を取っているのだろうか。長引く非常事態の中で、それぞれの企業が従業員の安全確保と、経済活動を両立させながらさまざまな取り組みをしていることがわかる。

Twitter

永久的に従業員に在宅勤務を許可。必要があれば出社も選択できる。

Square

オフィスが再開した後も、無期限で在宅勤務が可能。

Google

2021年9月までは在宅勤務とし、それ以降も週2日は在宅勤務を継続する予定。

Facebook

2021年7月までは全社リモートワークとし、在宅での勤務に支障のない約半数の職務については永久的にリモートワークを可能とした。

Apple

2021年6月まではほぼすべての社員が在宅勤務。

Airbnb

2021年8月までは在宅勤務とし、あわせて自宅の勤務環境を整えるための500ドルの給付金と、Airbnbで使用できる500ドル分のクレジットを従業員に配布した。

Spotify

従業員が出社か在宅かを柔軟に選択できる制度を導入する。さらに今後は、世界中の従業員が働く場所や時間をより自由に選べる環境を目指す。

Indeed

2021年7月までは全1万人の社員を在宅勤務とし、それ以降も必要に応じて在宅勤務が可能な制度を検討。

Microsoft

週の半分まではマネージャーの許可を得ずに在宅勤務ができる。マネージャーの許可を得れば完全リモートも可能に。

American Express

段階的にオフィスは再開しているが、2021年9月6日のレイバーデー(労働者の日)までは出勤か在宅勤務を従業員が選べるようにしている。

日本の課題は山積 日本政府は「出勤者7割削減」を掲げるも…

Photo by Chris Montgomery on Unsplash

世界的な大企業はもちろんのこと、日本でも多くの企業が緊急事態宣言の発令を受けて在宅勤務を導入している。しかし日本では、在宅勤務の生産性が低いとされ、緊急事態宣言が解除されると通常の勤務体制に戻す企業も少なくない。日本におけるリモートワークの現状と課題をみてみよう。

レノボが・ジャパン合同会社が世界10ヵ国で実施した「コロナ禍における働き方の変化と、在宅勤務へのテクノロジーに関する意識調査」によると、日本では「在宅勤務時の生産性がオフィスでの執務時に比べて低い」という回答が40%にも上り、10ヵ国平均を13%も上回る結果に。その他の項目でも、環境の整備が追い付いていないなど、日本の進んでいないリモートワークの現状が浮き彫りになった。

日本でリモートワークが定着しない理由としては、日本独特の会社文化が考えられる。日本の多くの会社では、未だに年功序列や終身雇用を前提とした「メンバーシップ型」の雇用が一般的だ。会社が従業員を管理して、「成果」よりも「働いた時間」で評価する文化が残っている。そのためリモートワークだと評価がしづらく、会社として導入が難しい結論に至る場合も少なくない。

また、日本の住環境や仕事文化の影響もあり、自宅で仕事をすることが難しいという状況もある。日本の住宅は、「仕事をするための空間」として作られていないことが多く、また、一緒に暮らす家族も「家で仕事をしている人」への対応を理解することが進んでいない。結果として、「出社したほうが、仕事がはかどる」と感じる人も多い。

一方、日本でもリモートワークの導入に成功している企業は多くある。日立製作所は、新型コロナウイルスの拡大する間は、社員の在宅勤務を認め、収束後も70%の従業員は永久的に在宅勤務ができる体制を予定している。ほかにも、人材サービスを提供するLAPRASや、インターネットサービスプロバイダーのインターリンクなど、IT企業やスタートアップをはじめ多くの企業が、オフィスを手放して、完全リモート勤務とすることを発表している。

リモートワークが普及するために 解決するべき課題

ここからは、リモートワークが普及するための解決策を考えてみたい。幸いなことに、日本ではコロナ前から政府による「働き方改革」の一環として、テレワークの環境を整えることが推進されており、国民の関心もとても高いことが明らかになっている。しかし、上記の問題に加え、セキュリティや社員同士のコミュニケーションなど解決すべき課題が多い。

この課題を解決するためには、まずリモートワークに対する理解を深め、従来の考え方を変えていく必要があるだろう。特に会社の中でも、従来のやり方に長く従ってきた管理職の意識改革は欠かせない。従来のような「部下の働き方を自分の目で見て確認する」ことが難しいのがリモートワークだ。今までの評価制度を見直し、コミュニケーションツールなどもうまく使いながら、新しいやり方で仕事を進めていく覚悟を持つことが大切だろう。

次に、リモートワークに適した環境の整備が必要である。レノボのリモートワークに関する調査でも、在宅勤務のために新しく購入したIT機器やソフトウェア等への支出金額は日本が132ドルで、10ヵ国中最下位に。10ヵ国平均273ドルの半分にも満たなかった。日本ではこうした機器やソフトウェア購入も多くが従業員の負担となっており、全額を会社が負担している割合でも、日本は最下位だった。

このような状況では、在宅勤務の生産性がなかなか上がらないことがうなずけるだろう。在宅勤務となり、社員の通勤交通費などは以前よりも減っていることも多く、そのような予算が在宅勤務のための環境整備に投資されることが理想だ。自宅の整備が難しければ、コワーキングスペースなどを会社で借りるといった対応も考えられるだろう。

最後に、ITツールの普及とコミュニケーションの改善が求められる。日本企業はいまだに印鑑やFAXなどの物質主義で動いている現場も少なくない。しかし、他国においては、すでにデジタルですべてをやり取りすることが当たり前だ。こうした前時代的な概念を捨て、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めていくことで、日本のリモートワーク環境も改善されていくだろう。多くのIT企業がDXの導入や、セキュリティへの対応の啓発活動を実施している。自分たちだけで何とかしようとするのではなく、専用のツールや企業を活用して、社内のリモートワークを加速化していくのも1つの手だ。

コロナ収束後 どうなる日本のリモートワーク?

テレワークの課題
Photo by Yasmina H on Unsplash

コロナ禍のおかげで、これまでリモートワークを検討すらしていなかった企業までもが、在宅勤務やリモートワークの導入に舵を切っている。働く人たちの意識も変わり、より柔軟な働き方を求める声も聴かれる。今後、「会社に雇われてお金をもらう」働き方は、数多くある選択肢のうちの1つになっていくだろう。個人で事業を立ち上げることで、会社から業務委託で仕事をもらう働き方も出てきている。コワーキングスペースや地方でのワーケーションプログラム活性化により、働く側がさまざまな選択をできる環境が整ってきていることも事実だ。日本だけでなく、世界中だれもが、場所や時間にとらわれずに働ける未来を期待したい。

Meerkat編集部 (Miho Beck)https://flyingmeerkat.com
Flying Meerkatでは、デジタルノマドに代表される新しい旅のスタイルやコロナ後の旅行業界のトレンド、それを支えるスタートアップの情報を中心に、世界のトラベルテックやホスピタリティに関する最新の話題を配信しています。

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