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宿泊業のデジタル化、クラウド型PMSが最良の理由

宿泊業のDXに欠かせないPMS (プロパティ・マネジメント・ソフトウェア)とは?

ホスピタリティ業界のPMS(プロパティ・マネジメント・ソフトウェア) とは、ホテルや民泊の管理業務に欠かせない宿泊管理システムのこと。予約管理、販売価格、顧客管理、売上管理、チェックイン・チェックアウト、料金清算、ハウスキーピング、ゲストとのコミュニケーションなど、様々な業務を一元管理できる宿泊業の中枢を担うシステムと言える。

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クラウド型のPMSを選ぶべき理由

SaaSモデルとクラウド化の波は、PMSにも及んでいる。従来のオンプレミス型PMSでは、ホテル側のクライアントサーバーに設置するため、導入費用が高価で大きな投資が必要だった。スタッフの教育にも手間がかかり、新しい機能の追加やソフトウェアアップデートが大変で、他のシステムとの連携が難しく、柔軟な運用ができないなど多くのデメリットがあった。

一方、クラウド型PSMの多くは、施設の規模に応じた月額課金のSaaSモデルで提供されるため、初期費用なしで導入可能。ホテル側でシステムを管理する必要がなく、インストールやスタッフの教育が簡単で、ソフトウェアアップデートは自動で行われる。

また、APIによりサードパーティのシステムとの連携が可能で、多数の予約サイト・OTAからの予約を一元管理できるサイトコントローラー (チャネルマネージャー) システムとの連携も可能。高機能でフレキシブルなソフトウェアを活用することで、アップグレードやアップセルが可能となり、顧客に付加価値を提供して収益化できる。

クラウド型PSMは、不透明なニューノーマルにおいて、ビジネス環境や市場の変化に合わせて運用できることが何よりも大きなメリットだ。また、常に進化するクラウド型PSMのデータ分析から、新しい消費者トレンドのインサイトを得ることで、迅速なビジネス戦略の立案に活かすこともできるだろう。

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国内・海外のクラウド型PMS (プロパティ・マネジメント・ソフトウェア)の紹介

中規模~大規模ホテル向けクラウド型PMSでは、世界の40,000以上の施設が導入しているOracleのOPERA Cloud (Oracle Hospitality OPERA Cloud Property Management) が世界トップシェアを持つ。OPERA Cloudは、Oracleがホテル業務専用に開発した、ホテル管理のすべての領域に対応した包括的なPMSで、数百の主要パートナーインタフェースにより、あらゆる種類と規模のホテルのニーズに対応する。

国産のクラウド型PMSでは、約7割のシェアを誇るNECのNEHOP、富士通のGLOVIA、JTBビジネスイノベーターズのINCHARGE7、シティホテルからペンションなど様々な規模に対応する株式会社タップのTAPなどがある。

以下では導入が容易な、小・中規模の宿泊施設・ホテル・民泊向けPMSを海外・国内の人気製品からピックアップして紹介しよう。

Guesty:バケーションレンタル・民泊向けPMS

Guesty は、2013年にイスラエルで設立された、米国カリフォルニア州ウォルナットに本社を置く民泊向けPMS。ホストが、Airbnb、Booking.com、Agodaなどの複数のプラットフォームで民泊物件を管理できるオンラインサービスを提供している。サービスには、統合された受信トレイ、支払い処理、Webサイト作成ツール、ゲストコミュニケーションなどの機能が含まれている

Guestyは、Y Combinatorの2014年冬プログラムを修了。2019年3月のSeries Cラウンドで$35Mを調達し、資金調達総額は$64.5Mに上る。

Cloudbeds:リクルートも出資する強力なブッキングエンジンを備えたPMS

Cloudbeds は、300以上の予約チャネルにアクセスしてコンバージョンを高める強力なブッキングエンジンが特徴のPMS。同社のソフトウェアは、157か国の20,000以上のホテル、ホステル、代替宿泊施設で使用されており、Hotel Tech Reportによる2021年「Best Property Management System」と「Best Hotel Booking Engine」に選出されている。

カリフォルニア州サンディエゴを拠点とするCloudbedsは、新型コロナのパンデミックが始まった2020年3月のSeries Cで$82Mを調達し、資金調達総額は$98.4Mに達する。今ラウンドには日本のリクルートも参加している。

Beds24:日本国内の約2,000施設が利用するドイツ発PMS

Beds24 (国内代理店はこちら) は、ドイツ発のPMSで主に民泊向けサイトコントローラーとして、日本国内の約2,000施設を含む世界の約10,000施設に利用されている。1部屋のみの小規模施設から99部屋までの中規模な宿泊施設のユーザーが多く、国内OTAはじゃらん、楽天トラベルに対応している。

innto (イントゥ):初期費用0円のホステル、カプセルホテル、ビジネスホテル向け国産PMS

innto は、USEN-NEXT GROUPの株式会社アルメックスが運営する、ホステル、カプセルホテル、ビジネスホテル向けの低コスト国産PMS。初期導入費0円、1ベッド199円から導入可能で、30日間の無料トライアルで機能を試すことができる。「2018年度グッドデザイン賞」を受賞している。

Staysee(ステイシー):月額料金が手頃な小規模施設向け国産PMS

Staysee は、旅館、ホテル、民泊、ゲストハウスなどの小規模施設向け国産PMS。月額料金が手頃で、無料お試し利用もできる。

特徴的な海外スタートアップのPMSにも注目

パンデミック下でも投資家が注目したCloudbedsのPMSなど、海外スタートアップのPMSには、管理機能を超える収益向上が期待できる製品がある。Airbnbで民泊を展開する事業者なら、Guestyは要注目だろう。アフターコロナでインバウンドが再開した際に備えて、グローバルに対応可能な海外のクラウド型PMSに、目を向けてみるのもいいかもしれない。

Meerkat編集部 (Miho Beck)https://flyingmeerkat.com
Flying Meerkatでは、デジタルノマドに代表される新しい旅のスタイルやコロナ後の旅行業界のトレンド、それを支えるスタートアップの情報を中心に、世界のトラベルテックやホスピタリティに関する最新の話題を配信しています。

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